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電機連合「第63回大会議案」について


<15春闘の評価をめぐって>

 15春闘では、昨年比での前進はあったものの、ベアは約1%相当でした。そもそも物価上昇分(約3%)を下回る要求2%の是非が問われました。
 大会の挨拶のなかで有野委員長はこの問題に触れ、電機の賃金政策である『実質賃金の維持向上』からすれば「過年度物価上昇に見合う約3%の賃上げ要求することになる」としながらも、「物価上昇の大きな要因は社会保障の維持と充実を目的とした消費税の引き上げによるもの」と弁解しました。
 賃上げの自粛要求が妥結にも大きな影を落としたことについて、改めて厳しい総括が必要です。しかしながら、「回答状況が昨年以上に波及効果を及ぼした」(中小の地闘組合では61%(昨年24%)が水準改善)ことについては、産別統一闘争の成果として一定程度評価できます。今春闘でも、産業別最低賃金を2000円引き上げたことも評価できます。この水準が、非正規を含めて電機で働くすべての労働者に適用させることが必要です。

<雇用や処遇制度改悪に対する具体的な提案がない>

 大会議案には、電機各社で起きている大リストラの実態への言及や、労働組合としての対応の提起がまったくみられません。逆に、「ここ数年成長に向けた事業構造改革を進め、全体とすれば業績改善の兆しも見え始めている」とし、事業構造改革=リストラが成長に欠かせないものとして容認しています。また、組合員が「雇用に対する不安」「将来に対する不安」を抱いているとしながらも、その解決の方向を政策制度要求に問題をすり替えています。
 労働組合の存立意義は雇用を守ることにあり、改めてその原点に立ち戻ることが求められています。「多くの加盟組合において人事処遇制度改定に関する労使協議が進められている」としながらも、その対応を賃金コンサルティング活動の充実とし、ここでも問題を矮小化し、「処遇制度改正」が労働条件全面改悪であることに言及されていません。

<新たな指標に基づく統一闘争を提起>

 産別統一闘争を、二つの領域に分けて取り組むことが提起されています。「何としても守るべき領域」と「主体的に処遇改善に取り組む領域」の二つです。
 先ず、各種労働条件の調査に基づき、労働条件の目標である「政策指標」を作成します。これは、加盟組合に共通する基準になります。次に、各組合の電機連合内の「立ち位置」を検証した「ベンチマーク指標」に基づき、各「政策指標」への到達に向けた取り組みの指標と位置付けます。
 そして各組合は、労働条件の向上をめざして「達成プログラム」を作成するとしています。このような取り組みにより、産別統一闘争の波及効果を進めるとしていますが、組合としての闘う姿勢が鮮明でなければ、絵に描いた餅になりかねません。

<法改正に伴う取り組みについて>

 労働安全衛生法の改正により、ストレスチェックが義務付けされます。その結果に応じて、面接指導が行われ、必要な場合の作業の転換や労働時間の短縮などの就業上の措置がとられます。これに対応して、改正に関する情報発信と「安全衛生対策指針」を補強するとしています。
 障がい者の働く環境整備についても次のような提案がされています。障害者雇用促進法の改正により、2016年4月から、雇用の場における障がい者に対する「差別の禁止」や「合理的配慮の提供」が事業主に義務付けされます。事業主の適切な対処や必要な措置などを示した指針の周知に努めるとしています。
 また総合的な介護支援体制を構築する為に、各種支援制度や好事例をまとめた、「電機連合 介護支援ガイドライン」を策定するとしています。

<16春闘でも賃金引上げに言及>

 有野委員長は16年闘争に対して、「経済の好循環を維持し、そして実質生活維持をより確かなものにしていくためには、継続して賃金水準の改善や総実労働時間短縮」に取り組むことが必要だと発言しました。個人的見解としながらも、経済成長率と物価上昇を考えると2.2%以上のベア要求になるとしたことは注目されます。
 また運動方針の討議では、三菱労組から長時間労働の抑止は最大の課題であるとして、「年間の時間外労働を何時間と決めて、例外を認めない方向での議論」を進める必要があるとの提起がありました。

以上



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