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電機大手による労働者犠牲の低額回答に抗議する

 電機大手はいっせい回答指定日の3月13日(水)、労働組合がベースアップを要求しない中、定昇相当の賃金体系維持の回答と18歳見合いの「産業別最低賃金」統一要求の1000円引き上げ(現行月額15万4500円)に対して500円を回答した。年間一時金も多くの会社が「業績連動」としている中、団交で決める日立は昨年実績の5.28ヶ月をわずか0.07ヶ月上回る5.35ヶ月、三菱電機は昨年実績の5.67ヶ月を0.45ヶ月も下回る5.22ヶ月を回答した。富士電機4.8ヶ月、OKI4.25ヶ月、明電舎4.0ヶ月の低額回答でした。

 会社回答を受けた日立の職場では「金額はわずか1.3%増であり住宅ローンの金利程度でひどすぎる」「5.5ヶ月を期待していたが裏切られた低額回答である」などが出されている。さらに、許せないことにパナソニックは13日に定昇に相当する賃金体系の維持を回答した後、1年を軸に数%の賃金カットする事で労使協議するとし、さらに富士通では定期昇給の実施の延期を組合に提案すると報道された。NECでは賃金体系維持としているが、春闘前に労使で賃金テーブルを評価が低い場合降給できる制度に改訂した。例えば総合職の一番上では標準者でも昇給額ゼロ、悪ければ最大で4000円も下げれることにしている。

 電機労働者懇談会(電機懇)は、今回の低額回答と逆提案に対して強く抗議するとともに、職場を基礎にした闘いを今後とも粘り強くすすめる事を表明する。

 電機大手の2013年3月期決算予測では、経営実態を見るうえで重要な指標である営業損益は、シャープの1500億円の赤字予測以外は全て黒字となっている。日立の営業利益率は4.72%、東芝が4.26%、三菱電機4.26%と予測し、好調な経営となっている。

 電機懇は13春闘に当たり、民間平均年収が1997年の467万円から2011年には409万円と58万円も減少した一方で、大企業の内部留保額は142兆円から267兆円と125兆円も増え続けた実態を受け、この内部留保金を労働者・国民に還元させれば、デフレ不況克服となる内需拡大・生活充実の経済へと転換ができると主張してきた。

 電機懇は電機・情報ユニオンと共同して、13春闘を取り組むに当たり全国の電機関連職場から1200枚を超える「13春闘要求アンケート」を集約し、「雇用確保も賃上げも」の立場を明確にした「13春闘の提言」の発表や全国の職場に対して「13春闘統一ビラ」2万7000枚配布などを取り組んだ。春闘要求アンケート結果は、この間のベアなしや減収などにより64%の人が生活の苦しさを訴え、月当たりの生活に必要な増額の設問に対して5万円がピークとなり、加重平均で3万7015円となった。

 電機の職場では、能力主義・成果主義賃金制度や長時間・過重労働などにより、心の病を発症し休職に追い込まれ、退職させられる実態も多く発生している。「13春闘要求アンケート」結果は「心の病で不安、通院・治療中」が11.2%に達していた。派遣切り、パワハラ問題やリストラなどで一昨年9月に結成された「1人でも入れる産業別労働組合」電機・情報ユニオンなどへの相談が多くなっている現実がある。今こそ、全ての職場で働く者の視点から的確な問題意識をもった労働運動の強化が求められている。

 電機懇は、非正規労働者問題の改善のためにも18歳見合い産業別最低賃金(月額15万5000円は時給1000円相当)を電機・情報産業で働くすべての労働者に適用させる、安易な海外進出による技術流出を止める、雇用を守るルールの確立、内部留保額のほんの一部を活用するだけで賃上げができ労働者を大切にしてこそ産業も経済も立て直すことができる等々、こうした企業の社会的責任を果たすことを強く求める。今後とも、全ての働く人達の生活と権利を守るために、労働者と労働組合の闘いをさらに強める事をここに呼びかけるものである。

2013年3月15日、電機労働者懇談会事務局長(谷口利男)


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