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電機大手による労働者犠牲の低額回答に抗議する

 電機大手はいっせい回答指定日の3月14日(水)、労働組合がベースアップを要求しない中、定昇相当の賃金体系維持の回答と18歳見合いの「産業別最低賃金」統一要求の1000円引き上げ(現行月額15万4000円)に対して500円を回答した。年間一時金も多くの会社が「業績連動」としている中、団交での最高となった三菱電機は昨年実績の5.74ヶ月を0.07ヶ月下回る5.67ヶ月、日立も0.02ヶ月下回る5.28ヶ月を回答した。

 許せないことに、シャープは14日に定昇に相当する賃金体系の維持を回答した後、実施の凍結を労使協議するとし、さらにNECも賃金体系維持を回答後15日、組合員に対して4月から9ヶ月間4%の賃金カットを中心とした内容で労使協議している。

 電機労働者懇談会(電機懇)は、今回の低額回答と逆提案に対して強く抗議するとともに、職場を基礎にした闘いを今後とも粘り強くすすめる事を表明する。

 パナソニック・ソニー・NEC・シャープなどで大幅な赤字になると報道されたが、電機大手の2012年3月期決算予測では、経営実態を見るうえで重要な指標の一つである営業損益は、パナソニック300億円の黒字・ソニー950億円の赤字・NEC700億円の黒字・シャープ損益ゼロとなっている。日立の営業利益率は、今期で4.2%を予測し、来期は5%超えを目指すとするほど好調な経営となっている。

 電機懇は12春闘に当たり、日本は対外純資産252兆円の世界一の金持ち国となり、大企業の内部留保は266兆円(10年で1.5倍に)にもなった。一方で労働者の賃金は下がり続けており、このような巨額の内部留保の一部を労働者・国民に還元させれば、内需拡大・生活充実の経済へと転換することができると主張してきた。

 電機懇は、12春闘を取り組むに当たり全国の電機関連職場から1300枚を超える「12春闘要求アンケート」を集約し、雇用も賃上げもの立場を明確にした「春闘の提言」の発表や全国の職場に対して「春闘統一ビラ」配布などを取り組んだ。独自に取り組んだ春闘アンケートは、この間のベアなしや減収などにより63%の人が生活の苦しさを訴え、月当たりの生活に必要な増額の設問に対して5万円がピークとなり、加重平均で3万6455円となった。

 電機の職場では、能力主義・成果主義賃金制度や長時間・過重労働などにより、心の病を発症し休職に追い込まれ、退職させられる実態も多く発生している。「12春闘要求アンケート」で「心の病で不安、通院・治療中」が9.8%に達していた。派遣切り、パワハラ問題やリストラなどで昨年9月に結成された「1人でも入れる産業別労働組合」電機・情報ユニオンなどへの相談が多くなっている現実がある。今こそ、全ての職場で働く者の視点から的確な問題意識をもった労働運動の強化が求められている。

 電機懇は、非正規労働者問題の改善のためにも18歳見合い産業別最低賃金(月額15万4500円)を電機・情報産業で働くすべての労働者に適用させること、内部留保金を労働者と社会に還元するなど内需主導の経済運営に切り替え、産業空洞化となる海外進出を見直し、企業の社会的責任を果たすことを求める。今後とも、全ての働く人達の生活と権利を守るために、労働者と労働組合の闘いをさらに強める事をここに呼びかけるものである。

2012年3月17日、電機労働者懇談会事務局長(谷口利男)


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