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《電機連合第59回大会について》

2011年8月3日 電機労働者懇談会

(はじめに)
 有野委員長は定期大会前の会見で、電力不足の影響が産業空洞化を加速させるとして、点検中の原発の再稼動を要請しました。また、新増設の島根・大間・東通も計画通り進めるべきだとしました。これまでも、「日本の原子力発電の世界展開と、そのために必要な国内環境を整備する」などと原発推進を積極的に推し進めてきました。そのことが、福島原発事故による放射能汚染の深刻な事態を招いた一因になったことへの反省がみられないことは問題です。ここでは、活用あるいは注目できる点を中心にとりあげます。

<賃金体系是正の取り組みで成果>
 今春闘では、「賃金体系の明らかな低下傾向」がある組合への是正を積極的に行う取り組みを行いました。その結果、中堅中小の14組合が賃金改善分を、7組合が賃金体系のひずみ是正分を確保しました。電機大手企業では、企業業績が過去最高水準を上回ったにもかかわらず「賃金体系」維持にとどまったことは残念ですが、中小での取り組みは評価されます。産業別最賃でも4年ぶりに1000円の満額回答を引き出し、15万4000円(18歳見合い)の水準となりました。しかしながら、同じ電機で働くパート・非正規や雇用延長者(一部は低い)にも、その水準が確保されなければなりません。

<2013年問題で取り組みを開始>
 厚生年金の支給開始年齢が2013年から段階的に引き上げられることから、いわゆる「無年金期間」が発生します。現行の法律では、希望者全員の雇用を確保することになってなく、賃金も大幅に減額されます。2012年の闘争をふまえ、野中副委員長は「希望者全員の確実な雇用確保と、いきいきと働ける処遇制度、社会保障の充実が必要だ」とし早期の検討開始を約束しました。

<40歳最低賃金前倒しを提案>
 注目される賃金政策では、「新たな目標水準(開発・設計職基幹労働者30歳で35万円)」や、賃金の低いグループを是正させる「グループ別賃金改善」については、引き続き検討課題としました。「現行の40歳最低賃金(22万1000円)」の35歳への引き下げは前倒しして取り組むとしました。

<調査研究を生かした政策提案が望まれる>
 調査労連と言われた伝統を引き継ぎ、貴重な調査・研究を進めていることは評価されます。昨年の定期大会では、欧州各国の@賃金決定システムA均等待遇B職種別賃金C労働時間規制などを調査することを決定しました。昨年10月には、「電機労働者の標準生計費」や「製造業におけるアウトソーシングの実態調査」の報告が提出されました。今回初めてまとめた「70歳夫婦二人世帯」の必要生計費を「月28万7706円」と算出したことも注目されました。このような調査が政策提案に充分生かされることが必要です。

<労働CSRへの取り組み>
 昨年11月にISO26000(組織の社会的責任に関する国際規格)が正式発行されました。これは、労働版のCSRといわれるものです。電機連合でも、ISO26000に基づく国内規格の策定や職場への展開について、連合・金属労協と連携して取り組むとしています。労働者の人権や労働環境向上に真に役立つものとして制定されることが求められます。



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