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電機大手による労働者犠牲の低額回答に抗議する

 3月11日(金)に発生したマグニチュード9.0の巨大地震による「東日本大震災」で被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。

 電機大手はいっせい回答指定日の3月16日(水)、10年度決算(11/3)で空前の営業利益が見込めると予想される状況において、労働組合がベースアップを要求しない中、定昇維持と18歳見合いの産業別最低賃金を統一要求通りの1000円引き上げ(月額15万4000円に)を回答した。さらに年間一時金も電機連合の「産業ミニマム」とした年間4ヶ月に届かない回答をした会社もあり、最高となった三菱電機は5.74ヶ月の回答を示したが「万一、震災の直接的・間接的な影響により、経営計画遂行に重大な支障が生じた場合には、何らかの対策を期中に申し入れる可能性もある」という会社見解に対して、労働組合として真摯に受け止め対応していくと表明している。

 賃金体系維持とは、労使協定で「年に1回昇給する」(日立の協定)と結んでおり、当然毎年実施すべきものだから、わざわざ春闘で要求するものではないことは明らかである。春闘とは交渉ごとであるから、労組側が引けば会社側が強気に出ることは当然ありうる事である。

 この15年間、日本経済は低迷した状態が続いている。他の先進諸国ではこの間も、ITバブル崩壊やリーマン・ショックなどの時期を含めて経済成長が続いており、労働者の賃金も増え続けている。逆に日本では、国内総生産(GDP)がプラス0.4%とほとんど増加しておらず、賃金は5.2%も減少している。そうした中、企業の内部留保はこの10年間に、245兆円から441兆円へと実に196兆円と大幅に増加させている。

 電機労働者懇談会(電機懇)は、電機大手の2011年3月期決算予測を見ると各社とも大幅な業績回復となっており、前年同期比で営業損益は102.8%増、経常利益は396.4%増(電機連合中闘組合の企業平均)となっており、今回の低額回答に対して強く抗議するとともに、職場を基礎にした闘いを今後とも粘り強くすすめる事を表明する。

 電機連合は11春闘に当たりベースアップすら要求できなかった中、年間一時金要求では「5ヶ月を中心」とし「産業ミニマム年間4ヶ月」の統一闘争をかかげて闘ってきたが、結果として18歳見合いの産業別最低賃金の増額以外は敗北したと言える。

 電機懇は、11春闘を取り組むに当たり全国の電機職場から1200枚を越える「11春闘要求アンケート」を集約し、雇用も賃上げもの立場を明確にした「春闘の提言」の発表や全国の職場に対して「春闘統一ビラ」配布などを取り組んだ。春闘アンケートでは、この間のベアなしや減収などにより63%の人が生活の苦しさを訴え、月当たりの生活に必要な増額の設問に対して5万円がピークとなり、加重平均で3万6194円となった。

 電機の職場では、能力主義・成果主義賃金制度や長時間・過重労働などにより、心の病を発症し休職に追い込まれ、退職させられる実態も多く発生している。派遣切り、パワハラ問題やリストラなどで電機ユニオンなどへの相談が多くなっている現実がある。今こそ、全ての職場で働く者の視点から的確な問題意識をもった労働運動の強化が求められている。

 電機懇は、非正規労働者問題の改善のためにも、18歳見合い産業別最低賃金(月額15万4000円)を電機産業で働くすべての労働者に適用すること、さらに、今回の大震災による企業への影響を労働者への雇用の喪失や労働条件低下などを押し付けないことを求める。今後とも、全ての働く人達の生活と権利を守るために、労働者と労働組合の闘いをさらに強める事をここに呼びかけるものである。

2011年3月18日、電機労働者懇談会事務局長(谷口利男)


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