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電機大手による労働者犠牲の低額回答に抗議する

 電機大手はいっせいに3月17日、賃金改善を要求しない中で、定期昇給実施を回答(一部9ヶ月凍結)、さらに年間一時金も電機連合の「統一行動基準」とした年間4ヶ月に届かない会社もあり、最高でも5.02ヶ月とする低額回答を示した。産業別最賃は要求の半分の500円、時間外労働の割増率も月40時間以上からの50%を見送った。さらに「賃金体系のあり方について組合と継続して議論したい」と申し入れるなど、総額人件費の抑制の姿勢を示している。

 賃金体系維持とは、労使協定で「年に1回昇給する」(日立の協定)と結んでおり、当然毎年実施すべきものだから、わざわざ春闘で要求するものではないことは明らかである。春闘は交渉ごとであるから、労組側が引けば会社側が強気に出ることは当然ありうる。

 電機大手は2008年9月のリーマンショック不況による大リストラ策で、派遣切りに始まり正規社員に対する早期退職などによる人員削減を強行した。さらに、2009年春闘では定昇実施の凍結や一時金の大幅減額、賃金カットや「無給の休日」の実施、残業割り増し率を始め諸手当の減額を実施した。

 労働者の賃金は1991年のバブル崩壊以後、実質賃金は下がり続けている。一方で、内部留保金(もうけのため込み)は、全企業の合計で見ると1998年時点からの10年間で約2倍に増大させている。電機大手企業でも、内部留保金のほんの一部を使うだけで労働者の雇用も賃上げも可能で、実施することで「企業の社会的責任」が果たせることになる。

 電機労働者懇談会(電機懇)は、電機大手の2010年3月期決算予測を見ても営業損益が黒字となる改善方向の経営実態にあり、今回の低額回答に対して強く抗議するとともに、職場を基礎にした闘いを今後とも粘り強くすすめる事を表明する。

 電機連合は10春闘に当たり、ベースアップすら要求できなかった中、賃金体系維持や年間一時金ミニマム要求「年間4ヶ月」を中心にした統一闘争をかかげて闘ってきたが、結果として大企業の「経営危機」宣伝に敗北した。

 電機懇は、10春闘を取り組むに当たり各電機の職場から1300枚を越える「10春闘要求アンケート」を集約し、雇用も賃上げもの立場を明確にした「春闘の提言」の発表や全国の職場で「春闘統一ビラ」配布などを取り組んだ。春闘アンケートでは、この間の定昇凍結や「賃金カット」などによる大幅な減収により70%の人が生活の苦しさを訴え、生活必要額の設問に対して5万円がピークとなり、加重平均で3万7669円となった。

 電機の職場では、能力主義・成果主義賃金制度の導入や過重労働などにより、心の病を発症し休職に追い込まれ退職させられる実態も多く発生している。パワハラ問題も含めて電機ユニオンなどへの相談が多くなっている現実がある。今こそ、全ての職場で働く者の視点から的確な問題意識をもった労働運動の強化が求められている。

 電機懇は、全ての働く人達の生活と権利を守るために、労働者と労働組合の闘いをさらに強める事をここに呼びかけるものである。

2010年3月18日、電機労働者懇談会事務局長(谷口利男)


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