HOME COMMUNITY 春闘特集 イベント/行事 政策提言 声明/談話 電機懇機関紙 ELIC 連絡先 リンク 更新履歴



電機大手の回答と労働者犠牲の「緊急対策」に抗議する

 3月18日、世界同時不況で業績悪化を表明した電機では4年ぶりに賃上げゼロの回答をした。賃金体系維持の回答は少数でその実施も半年間延期、定昇なしで実質賃下げとなる企業もあり、夏冬の一時金についても、年間2.3〜5.06ヶ月と1カ月分(約30万円)前後となる大幅な削減回答が相次いだ。

 日立をはじめ電機大手企業が「経営危機」と称して、派遣切りや正社員への早期退職、ワークシエアに名を借りた賃金カットや無給の休日設定、時間外労働の割増率を労基法の最低基準に引き下げ、出張手当の50%減額など、この機に乗じてここぞとばかり労働者犠牲を強いるリストラ策を強行してきた。

 電機大手は2001年前後の大リストラにより正規社員を削減、2004年の派遣法改定を契機に製造現場へ非正規社員を大量に採用し、「裁量労働制」を導入して賃金抑制を続けてきた。利益拡大の時には過大な設備投資に資金を投入し、賃上げは後回しにしてきた。その結果、労働者の賃金は1991年のバブル崩壊以後、実質賃金が低下をたどっている。一方株主配当や役員報酬は増やし続け、内部留保(もうけのため込み)も一貫して増大させてきた。この間、6期連続の業績拡大で増やし続けてきた内部留保を吐き出さず、業績悪化のツケを労働者だけに押し付けるもので、景気回復に逆行するなど社会的責任を放棄した回答である。

 電機労働者懇談会(電機懇)は、電機大手が09年3月期決算の悪化による企業存続の危機を全面に出して、派遣社員切り、正社員への早期退職を実施してきたことに対して強く抗議するとともに、職場を基礎にした闘いを今後とも粘り強くすすめる事を強く表明する。

 電機連合は、09春闘に当たり、賃金体系維持の定昇約2%と諸物価上昇分の4500円以上の賃上げを求める統一闘争をかかげて闘ってきたが、結果として大企業の「経営危機」宣伝を押し返せなかった。

 電機懇は、09春闘を取り組むに当たり各電機の職場から「09春闘要求アンケート」を取り組み、雇用も賃上げもの立場を明確にした「春闘の提言」の発表や全国で「春闘統一ビラ」配布などを取り組んだ。春闘アンケートでは生活必要額の設問に対しては5万円がピークで、加重平均で3万5569円となった。さらに、原油高を反映した諸物価の高騰が生活を直撃し、春闘での賃上げに大きく期待をしていた。

 電機大手の職場では、成果主義賃金制度の導入などにより、わずかなベアを求めるよりも個人の成績評価に伴う賃金決定額で大きく増減する面もあるが、春闘の持つ重要な意義である「生計費を補うために誰でも横並びに賃上げを勝ち取る」ことを改めて認識を大きくし、労働者と労働組合の闘いをさらに強めることを呼びかける。

2009年3月19日、電機労働者懇談会・事務局長/谷口利男


--- www.denkikon.net ---